生活習慣病について
早めの対策が未来の健康を守ります
生活習慣病は、その名のとおり「日々の生活習慣の積み重ね」によって少しずつ進んでいく病気です。
初めのうちはほとんど症状がなく、自分では気づかないまま進行してしまうこともあります。気づいたときには、思いがけず大きな病気につながってしまう場合もあります。だからこそ、健康診断で数値に変化を指摘されたときは、体調に変わりを感じていなくても、一度医療機関を受診することが大切です。
はらだメディカルクリニックでは、患者さまのライフスタイルに合わせた、無理のない治療を一緒に考えていきます。
主な生活習慣病の種類
高血圧(こうけつあつ)
血圧が高い状態が続くと、血管に少しずつ負担がかかり、将来的に脳や心臓、腎臓の病気につながることがあります。こわいのは、自覚症状がほとんどないまま進んでしまうことです。だからこそ、日ごろから血圧を測って確認しておくことが大切です。
健康診断で「血圧が高め」と言われたときは、そのままにせず一度ご相談ください。生活習慣を少しずつ整えること(減塩、適度な運動、体重の管理など)から始められます。必要に応じて、負担の少ないお薬を使いながら、無理のない改善を一緒に進めていきましょう。
脂質異常症(LDLコレステロール高値)
血液の中に「悪玉コレステロール(LDL)」が多くなると、血管の内側に少しずつたまっていき、動脈硬化を進めてしまいます。 怖いのは、これも自覚症状がほとんどないまま進んでしまうことです。その結果、知らないうちに心筋梗塞や脳梗塞といった大きな病気につながることがあります。
当院では、血液検査でコレステロールや中性脂肪のバランスを丁寧にチェックし、食事や運動の工夫を一緒に考えていきます。必要に応じて、体に合ったお薬を使いながら無理のない改善をめざします。 「異常」と言われたときから早めに取り組むことが、将来の健康を守ることにつながります。
糖尿病(とうにょうびょう)
糖尿病は、血糖値が高い状態が長く続くことで起こる病気で、進行すると目・腎臓・神経など全身に影響が出ることがあります。初めのうちは症状がほとんどなく、「のどが渇きやすい」「疲れやすい」といった小さな変化に気づかない方も少なくありません。
最近は若い世代でも増えており、そのままにしておくと失明や人工透析が必要になることもあります。そのため、早めに見つけて治療を始めることがとても大切です。
当院では、血糖やHbA1cの測定、尿検査などを行いながら、食事・運動・お薬のバランスを整え、一人ひとりに合った方法で合併症を防ぐためのサポートをいたします。
高尿酸血症(こうにょうさんけっしょう)・痛風
尿酸の値が高い状態が続くと、足の親指やひざなどの関節に強い痛みを伴う「痛風発作」が起こることがあります。発作がないときでも、尿酸は少しずつ腎臓に負担をかけ、腎機能の低下や尿路結石の原因になることがあります。
「今は痛くないから」とそのままにせず、尿酸値が高いと分かった時点で、早めに対策を始めることが大切です。
当院では、食事の工夫やお酒・体重管理のサポートを行い、必要に応じて尿酸値を下げるお薬もご提案します。発作が起こる前から取り組むことで、将来の安心につながります。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPDは、長年の喫煙などで肺にダメージが蓄積し、息切れや咳、痰が慢性的に続く病気です。初めは「風邪がなかなか治らない」「階段を上がると少し息が苦しい」といった軽い変化に見えることが多く、気づかれにくいのが特徴です。一度傷ついた肺そのものは元に戻りませんが、適切に治療することで進行をゆるやかにし、生活のしやすさを保つことができます。
当院では、呼吸機能検査や胸部レントゲンで早めに診断し、禁煙のサポートや吸入薬を中心とした治療で、呼吸の負担を軽くするお手伝いをしています。 「長引く咳や息切れ」は、年齢のせいだけではないかもしれません。少しでも気になる方は、早めにご相談ください。
メタボリックシンドローム
メタボリックシンドローム、通称「メタボ」は、お腹の内臓まわりに脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」を土台にして、「高血圧」「高血糖」「脂質異常」といった生活習慣病のリスクが重なった状態をいいます。これらが組み合わさると、心筋梗塞や脳卒中など大きな病気につながる危険が高くなるため、早めの予防と対策が大切です。
診断基準(日本における一例)
腹囲(内臓脂肪の目安)
- 男性:85cm以上
- 女性:90cm以上
上記に加えて、以下の3項目のうち2つ以上に該当する場合、メタボと診断されます。
-
- 血圧:130/85mmHg以上
- 脂質:中性脂肪150mg/dL以上 または HDLコレステロール40mg/dL未満
- 血糖:空腹時血糖値110mg/dL以上
メタボリックシンドロームの原因と注意点
メタボリックシンドロームの大きな原因は、運動不足や食べすぎ、生活リズムの乱れなどによって内臓脂肪が増えてしまうことです。自覚できる症状はほとんどありませんが、合併する病気によっては、動悸や息切れ、体のだるさを感じることもあります。
そのままにしておくと、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる大きな病気につながる危険性があります。
また、日本人は見た目が細身でも内臓に脂肪がたまりやすく、「かくれメタボ」になりやすいといわれています。見た目に安心せず、定期的なチェックや生活習慣の見直しが大切です。
生活習慣病との違い
| 比較項目 | 生活習慣病 | メタボリックシンドローム |
|---|---|---|
| 本質 | 生活習慣が原因の慢性疾患群 | 内臓脂肪+代謝異常の複合リスク状態 |
| 診断基準 | 各疾患ごとに定義される | 腹囲+血圧・脂質・血糖のうち2つ以上 |
| 位置づけ | 病気そのもの | 病気に至る前段階の“警告状態” |
| 代表的な内容 | 高血圧、糖尿病、脂質異常症、痛風等 | 高血圧・高血糖・脂質異常が複合した状態 |
簡単に言えば、メタボリックシンドロームは生活習慣病の“入り口”であり、特に注意すべき「予備軍」にあたります。
予防と治療のポイント
メタボリックシンドロームの予防や改善には、まず生活習慣を整えることが一番大切です。たとえば、適度な運動を続けること、栄養のバランスを意識した食事、禁煙やお酒の量を控えることなどが基本になります。
必要に応じて、血圧・血糖・脂質を調整するお薬を併用することもあります。定期的な健康チェックと医師のフォローを受けながら続けることで、大きな病気を防ぐことにつながります。
メタボリックシンドロームは、見た目の体型だけでは判断できない「内臓脂肪の蓄積」と「代謝の異常」が組み合わさった、体からの“注意のサイン”です。症状が出る前に生活を少しずつ見直すことが、将来の動脈硬化や心臓・脳の病気を防ぐ大切な一歩になります。
健診で引っかかった方
健診の“異常値”は、受診のきっかけに
健康診断で異常を指摘されたとき、「まだ症状がないから大丈夫」と思って受診を後回しにしてしまう方も少なくありません。けれども生活習慣病は、症状が出たときにはすでに進んでしまっていることもあります。
はらだメディカルクリニックでは、無理なく続けられる治療や生活習慣の工夫を、一人ひとりに合わせてサポートしています。健康診断の数値の変化は、体からの大切なお知らせです。未来の自分のために、できることから少しずつ始めてみませんか。
生活習慣病に関するよくあるご質問(FAQ)
健康診断で「血圧が高い」と言われましたが、自覚症状がないのでそのままでもいいですか?
高血圧は「サイレントキラー(沈黙の殺し屋)」と呼ばれるほど、自覚症状がなく進行する病気です。放っておくと、脳卒中や心筋梗塞、心不全、腎機能障害など、命に関わる疾患を引き起こす可能性があります。健康診断で異常を指摘されたら、症状がなくても一度受診することをおすすめします。早めに対策を始めれば、薬を使わずに改善できるケースもあります。
血圧の薬は一度始めると一生飲み続けるのですか?
血圧をコントロールするために薬を使うことはありますが、生活習慣の見直しによって薬を減らせる方もいます。ただし、自己判断で中止するのは危険です。血圧は変動するため、定期的なチェックを行いながら、主治医と相談して調整していくことが大切です。当院では、無理のない継続をサポートします。
コレステロールが高いと言われました。見た目も元気なのに、なぜ治療が必要なのですか?
悪玉コレステロール(LDL)が高いと、血管の内側にプラーク(脂のかたまり)がたまりやすくなり、動脈硬化が進みます。見た目ではわかりにくいのですが、気づかないうちに心筋梗塞や脳梗塞の原因になることもあります。特に家族に血管病の既往がある方や、喫煙・糖尿病など他のリスクがある方は早めの対策が重要です。
糖尿病の症状ってどんなものですか?自覚しにくいって本当ですか?
はい、本当です。初期にはほとんど症状がなく、知らないうちに進行するのが糖尿病の怖さです。症状が出る頃には、喉の渇き、頻尿、疲れやすさ、体重減少などが見られることがありますが、それはすでに進行した段階かもしれません。健康診断で「血糖値が高い」と言われたら、早めに検査と対策を始めましょう。目や腎臓、神経など、合併症を未然に防ぐことができます。
運動が苦手ですが、生活習慣病は改善できますか?
もちろん可能です。必ずしも激しい運動をする必要はありません。たとえば「毎日10分多く歩く」「エレベーターを階段に変える」など、日常の中での工夫が大切です。当院では、患者さまの生活に無理なく取り入れられる運動方法や食事のポイントも一緒に考えています。完璧を目指すより、できることから少しずつ始めるのが長続きのコツです。
尿酸値が高くても痛みがなければ様子見でも大丈夫ですか?
痛みがない時でも、尿酸値が高い状態は体にダメージを与え続けています。関節だけでなく腎臓にも影響を及ぼし、将来的に腎不全のリスクを高めます。また、痛風発作は突然、激痛とともにやってきます。予防的な治療や生活習慣の改善を早期に始めることで、発作を避けることが可能です。
咳が長引いていて、年のせいかなと思っていましたがCOPDの可能性はありますか?
はい、その可能性は十分にあります。とくに喫煙歴のある方で、慢性的な咳や痰、息切れが続いている場合は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)という肺の病気が隠れていることがあります。進行すると呼吸が困難になり、日常生活にも支障が出ることがあります。呼吸機能検査(スパイロメトリー)で早期に見つけることができれば、治療で進行を抑えることが可能です。
生活習慣病は遺伝しますか?
正確には「生活習慣病のなりやすさ」が遺伝することがあります。たとえば、高血圧や糖尿病、高コレステロール血症などは、家族に同じ病気の方がいると発症リスクが高まる傾向があります。ただし、遺伝だけでなく、家族内での生活習慣(食事や運動)の影響も大きいため、環境と習慣の見直しでリスクを下げることができます。
健診の結果がいくつか「要再検査」でした。一度に相談してもいいですか?
はい、ぜひご相談ください。当院では、複数の異常項目があった場合でも、総合的に評価して、必要な検査や治療方針をご提案します。個別に受診するより効率的で、患者さまの負担も少なくなります。健康診断の結果票をご持参のうえ、お気軽にご来院ください。
生活習慣病は治るのですか?それとも一生付き合うものですか?
高血圧や糖尿病などの生活習慣病は「治す」というより「コントロールしていく」病気です。薬や生活改善でしっかりと管理することで、重い合併症を防ぎ、健康な生活を続けることが可能です。当院では、患者さまの生活や気持ちに寄り添いながら、無理なく続けられる治療とアドバイスを大切にしています。